【映画感想】「岬の兄弟」生きていくのは綺麗ごとじゃない。

こんにちはアラフォー主婦のぶりん@noburin5213です。

インスタグラムで東野幸治さんがこの映画を紹介していたので気になって映画「岬の兄弟」を観てきました。

インディーズ映画ということで、あの「カメラを止めるな」のように口コミで人気になるような映画かなと思いましたが、

性的描写がよくR15で済んだなと思うくらいリアグロだったのと、タブーに切り込みすぎていて万人受けはちょっと難しいかなという印象です。

「ちょっとこれ観てみて」って誰にでもお勧めできる映画ではないのだけれど、観に行って良かったと思いましたし、お金を払う価値は十分にあるなと思いました。

今回ネタバレはしていませんので、気になっている方は記事を読んでいただき映画の雰囲気の判断材料にしてもらえればと思います。

あらすじ

また、真理子が居なくなった・・・

自閉症の妹のたびたびの失踪を心配し、探し回る兄の良夫だったが、今回は夜になっても帰ってはこない。
やっと帰ってきた妹だが、町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知り、妹をしかりつける。
しかし、罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄。このような生活を続ける中、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。
そんな時、妹の心と身体にも変化が起き始めていた…。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。

岬の兄弟公式HP

監督

監督は「TOKYO!」「母なる証明」「マイ・バック・ページ」「苦役列車」などポン・ジュノ監督作や山下敦弘監督作に助監督として携わってきた片山慎三監督。今回の作品では監督、脚本、編集も自身で行っている。製作費300万円のインディーズ映画で完成まで二年以上かけられている。

感想

悲惨な事件や虐待などのニュースから流れてくると、なんでそんなことになるんだろう?もっと周りに相談したり、行政のサービスを使うなりやり方はいくらでもあったんじゃないかと思ってしまうけれど、貧困や無知からくる負の連鎖はこんなふうに起こっていくのだろうなと思いました。

自閉症の妹と足に障害をもつ兄という核家族が、社会的弱者として孤立している様子は想像に難くなく、現代の日本でも起こり得そうなリアルさを感じることができます。

絶望するほどの貧困、障害、売春、障碍者の性などこれまでもかとタブーに切り込み目を覆いたくなるような内容でしたが、ちょっと笑ってしまうようなコミカルなシーンなどもちりばめられており、覚悟していたほどつらく重い気持ちにはならず観ることができました。

ただ、あんまりにも悲惨な状況の上でのセリフだったりするので笑うに笑えないというか、健常者が障碍者を笑っているような気持ちになってしまって、どういうリアクションをしていいのか分からなくなってしまいました。

そしてこの映画が重くなりすぎずにすんだのは、和田和沙さん演じる真理子の天真爛漫さと、松浦裕也さん演じる良夫のわずかに残る良心や善良さがあったからだと思います。真っ暗な絶望の中にある柔らかくて小さな明かり。

売春が悲惨なものと思えなかったのも、真理子が楽しそうにセックスしていたからかもしれません。
真理子が客に「私のこと好き?」「気持ちいい?」と聞くシーンがあるのですが、そんな一瞬だけの関係でも自分が他人に必要とされ、与えることで今まで感じることのなかった承認欲求というものが満たすことができたのではないかと。

もしかするとそれも私の考えすぎかもしれませんし、たんにセックスが楽しいだけだったのかもしれない。けれど他人との関わりによって満たされることが真理子の中にあったと思いたいです。

それにしても、この真理子を演じた女優の和田和沙さんの演技力が凄かった。
自閉症という障害を持つ少女の性描写なんて想像でききませんが、見事に違和感なく演じられています。喘ぎ声にしたって、行為の始まり方にしたってたぶんこんなふうだろうなと。そして自閉症という障害を持つからこその天真爛漫さや、やり場のない感情の表現も素晴らしかったです。

一つどうしても気にかかってしまったのは、警察官の友人の存在。
場末の港町とはいえ警察官なら行政のサービスについて知識があるはずだし、生活保護の申請などの助言を絶対するはずということが頭から離れず、その一点によって、映画のリアリティが半減してしまったのは残念でした。

ラストシーンは、真理子が岩壁の上から良夫の方を振り変えり何も語られずに映画は終わるのですが、真理子の表情が何を語っているかの解釈は観客に委ねられており、人それぞれの感じ方で違うものになっています。

個人的な感想は、真理子は人生に絶望しているわけでもなく、何かに期待しているわけでもなく、自分の知らない世界をもっと知りたいと感じているのかなと思いました。

何も知らない無垢な表情の中に、大人の女性の感情を感じる印象的で忘れられないラストシーンでした。

さいごに

面白いか面白くないかは人によって賛否両論分かれると思います。

性描写が生々しく、排せつ物が出てきたり、暴力的な描写もありますので、そういった表現が苦手な方は映画を観るのをやめておいたほうがよいです。

個人的には、どうしようもない厳しい現実に追い込まれ、生きるためにあがく二人の兄弟を見て人間の生命力を感じることができました。

生きるって辛くて痛いことが多いけど生きなきゃいけない。

生きづらさを感じている人には共感することの多い作品なのではないかと思います。

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